今月の臨床 性器脱診療の最前線
性器脱と排尿障害
角 俊幸
1
,
福田 武史
1
,
石河 修
1
1大阪市立大学大学院医学研究科産科婦人科学
pp.680-683
発行日 2009年5月10日
Published Date 2009/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102095
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
これまで,性器脱と排尿障害は独立した疾患として扱われ,性器脱は婦人科医が,排尿障害は泌尿器科医が,主にその診療に当たってきた.近年,女性骨盤底医学(UrogynecologyやFemale Urologyともいう)の分野が発展するとともに,その両者の病態が骨盤底支持機構の破綻に起因することが多いことが解明され,婦人科医と泌尿器科医が共同してその診療をするようになってきた.特に,最近では性器脱の治療にTVM(tension─free vaginal mesh)手術が広く行われるようになってきたが,これは泌尿器科医が開発した術式である.女性の排尿障害に関しても,世界的な高齢化社会の進行につれてその有病率は増加傾向にあり,また過活動膀胱といった新しい疾患が提唱されるようになり,泌尿器科医だけではその診療に当たれない現状と,女性が相談する窓口としては泌尿器科医より婦人科医のほうが選ばれやすいといったことから,婦人科医がその診療に貢献するようになってきた.本稿では,密接な関係をもつ性器脱と排尿障害について,自験例を交えて若干の文献的考察を加えて解説する.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.