今月の臨床 性器脱診療の最前線
性器脱の発生機序
工藤 隆一
1,2
,
佐藤 賢一郎
2
,
堀 保彦
1
1新川病院産婦人科
2新日鐵室蘭総合病院産婦人科
pp.671-678
発行日 2009年5月10日
Published Date 2009/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102094
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
性器脱は骨盤内臓器脱(pelvic organ prolapse : POP)あるいはpelvic floor disordersの名称が付されている.性器脱には性器の脱出にかかわる悩みや障害のみならず膀胱,尿道,直腸,小腸の脱あるいは下垂に伴って発生する排尿,排便などにかかわる障害,不調などを伴っている.その結果日常生活の質を損なう慢性疾患として生活および行動を制限する.また高齢化社会の到来などからPOP関連の疾患が増加し,これらの疾患に対する医療の需要がますます増加していると考えられる.このような背景にあるためか,アメリカでは1年間に約200,000人にPOPに関連する手術治療が行われていることが報告されている.またこれらの手術症例の約30%に再手術が実施されていることも報告されている1, 2).
このように性器脱の手術症例の増加と性器脱の修復手術後の再手術率の高さを考えると性器脱の予防,治療成績の向上のため,性器脱の発生機序についてreviewすることも重要と考えられる.そこで本稿では最近発表された文献から性器脱の発生機序について概説する.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.