今月の臨床 生殖内分泌と不妊診療の最新データ
更年期・老年期
4.高脂血症
森岡 信之
1
1高知医科大学産科婦人科
pp.470-477
発行日 2000年4月10日
Published Date 2000/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903998
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本邦における中高年女性の人口は増加傾向にあり,1995年の人口統計では65歳以上の女性の数は1,713万人に達し,さらに毎年約100万人の女性が閉経を迎えようとしている.閉経に伴うエストロゲンの欠乏により,脂質代謝が変動することはよく知られているが,50歳台以上になると確実に血清コレステロール値は上昇し,高コレステロール血症の頻度も男性を凌ぎ著しく増加してくる.女性の死因の第1位は心疾患,第3位は脳血管障害であり,その要因として閉経後の高脂血症の関与が考えられている.したがって女性の平均寿命が80歳をこえる今日,長期にわたる低エストロゲン環境下での閉経後女性のquality of lifeを考えれば,数多くの中高年婦人が受診する婦人科外来,とくに更年期専門外来での高脂血症の診断・管理は,動脈硬化性疾患の発症予防に重要である.
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