今月の臨床 卵巣がんと闘うために
総論
5.遺伝子研究の現況
加藤 秀則
1
,
和氣 徳夫
1
1九州大学生体防御医学研究所生殖生理内分泌婦人科
pp.782-783
発行日 1999年6月10日
Published Date 1999/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903677
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近年の分子生物学の急速な進歩により種々の癌の発癌機構が加速度的に明らかになりつつある.しかし発癌は多段階の遺伝子変異を経て起こるものであり,同じ遺伝子変異を持つ個体でも人種,環境といった要因により発がんに至る過程が異なってくる場合もあり,解明されるべき多くの疑問がいまだ山積している.加えて卵巣癌では発生母地が異なる多くの組織型が存在し,発がんに関与する遺伝子も異なると考えられる.現時点では未知の部分が多いが,卵巣癌に関与する遺伝子変異を明らかにしていくことは,新しい時代の診断学,治療学には不可欠なことである.本稿では上皮性卵巣癌を中心に最近の知見について概説する.
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