特集 今日の子宮内膜症
子宮内膜症のStagingと腹腔鏡の応用
斎藤 佳孝
1
,
星合 昊
2,3
Yoshitaka saito
1
,
Hiroshi Hoshiai
2,3
1由利組合総合病院産婦人科
2東北大学医学部産科婦人科学教室
3近畿大学医学部産科婦人科
pp.852-857
発行日 1990年10月10日
Published Date 1990/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900166
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子宮内膜症は近年増加傾向にあると言われている疾患である1)。また,その診断に腹腔鏡が広く施行されるようになった今日,症状および内診所見と実際の子宮内膜症の進行期との間に時として格差が認められることが判ってきた2)。子宮内膜症は生命予後に大きく影響する疾患ではないが,不妊症の原因としては大きな問題の一つと考えられている。本邦において頻繁に使用されてきた子宮内膜症の臨床進行期分類法は,内診所見によるBeechamの分類3)(表1—a),腹腔鏡所見による杉本の分類4)(表1—b).開腹時所見によるAcostaの分類5)(表1—c)の3種類があったが,これら各分類とも,診断後の治療指針を示唆する意味からは優れた分類法である反面,分類法に臨床的な簡便化の要素が含まれているためか,実際に分類が困難な症例にしばしば遭遇する。最近はアメリカ不妊学会の提唱したいわゆるAFS分類の改訂版revised-AFS分類6)(表2)が,本邦でも普及してきている。この分類法は前出の各分類法の短所を補うべく,病態を詳細に分類し,点数制を採用したために他の分類にない長所を持っている。本論文では,約3,000例の腹腔鏡施行例中約600例の子宮内膜症例をrevised-AFS分類でstagingし,それぞれの症状,内診所見をはじめとする各診断法の所見,治療法別の予後等を解析し,子宮内膜症のStagingにおける腹腔鏡の必要性およびrevised-AFS分類の有用性について検討した結果をまとめてみた。
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