症例
腹腔鏡下手術により診断した卵管捻転の2例
山田 有紀
1
,
松原 翔
1
,
長安 実加
1
,
岩井 加奈
1
,
木村 麻衣
1
,
新納 恵美子
1
,
馬淵 誠士
1
,
川口 龍二
1
,
小林 浩
1
1奈良県立医科大学産科婦人科学教室
pp.745-748
発行日 2020年7月10日
Published Date 2020/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210109
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▶要約
卵管捻転は発生頻度が150万人に1例とされる比較的稀な疾患である.卵管捻転は特異的な症状や画像所見に乏しいため,術前診断が困難であることが多い.今回,卵管捻転の2症例を経験したので報告する.1症例目は55歳女性.10日前から間欠的な右下腹部痛があり,近医で精査を行ったところ,右卵巣腫瘍が疑われ当科に紹介となった.急性腹症として緊急腹腔鏡下手術を行った.右卵管捻転であり卵巣腫瘍も認めたため,両側付属器切除術を施行した.2症例目は50歳女性.4日前から持続する左下腹部痛のため,当科に紹介となった.MRIでは左卵巣腫瘍を認めたが卵巣腫瘍茎捻転は否定的であった.いったん経過観察としたが,その後腹痛が増悪したため緊急腹腔鏡下手術を施行した.左卵管捻転であり,卵管切除術を施行した.卵管捻転は稀な疾患ではあるが,女性の急性腹症を診察する場合には,鑑別疾患の一つとして考慮すべきである.
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