今月の臨床 経腟超音波を使いこなす
産科での活用
5.胞状奇胎の診断
福永 正平
1
1西川医院産婦人科・内科
pp.426-433
発行日 1998年4月10日
Published Date 1998/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903231
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絨毛性疾患の画像診断には骨盤動脈撮影pelvicangiography (PAG),子宮卵管造影法hystero—salpingography(HSG),CTスキャンcomputedtomography (CT),超音波断層法ultrasoundsonography (US),核磁気共鳴画像magnetic res—onance imaging(MRI)などが用いられている.
MRIは絨毛性疾患の出血とその後に生ずる血腫を特徴ある信号としてとらえるので,血流変化を伴う病巣の質的診断,腫瘍の深達度の判定および筋層内病巣の検出に非常に有用である.一方,超音波断層法は患者に無侵襲で,しかも反復して観察することが可能な検査法であり,分解能の向上に伴い,病巣の局在診断にPAGに匹敵する成績が報告されている.さらに,経腹超音波では腹壁で超音波の減衰が起こりやすいが,経腟法では近距離から高周波数(5〜7.5 MHz)の超音波を使い,解像度のよい鮮明な画像が得られるため,その診断価値はさらに高まっている.また,カラードプラ法を用いれば,繰り返し腫瘍の血流を描出し,血流波形解析を行えることから,絨毛性疾患の病巣の検出,性状の判定やフォローアップにも適応されつつある.
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