Japanese
English
綜説
胞状奇胎の臨床
Clinic of hydatid mole
高尾 直良
1
Naoyoshi Takao
1
1長崎大学医学部産婦人科学教室
pp.11-17
発行日 1963年1月10日
Published Date 1963/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202729
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はしがき
産婦人科領域の悪性腫瘍として頸癌の研究は最近ますます発展の一途をたどつているが,卵巣癌,肉腫,奇胎,絨毛上皮腫に関する研究に対してはいささか関心が薄い感じがしないでもない。特に絨毛上皮腫は早期に致命的な転移を起しその悪性度においては子宮癌の比ではない。幸か不幸か絨腫発生にはその前に妊娠という条件がつく。従つて観点を転じて考えてみると癌や肉腫の発生に較べると或る程度その発生を予防できるのではないかと思われる。絨毛上皮腫の先行妊娠のうちで奇胎の占める率は大きく教室例でも自見7)の報告によると43%をしめている。従つて絨腫予防の第一歩として奇胎の臨床をよく把握しておく必要がある。もちろん,奇胎以外の正常妊娠や異常妊娠のあとにも絨腫の発生は起り得るので,臨床家としては正常,異常の区別なく妊娠中はもとより妊娠終了後もafter careに充分注意を向けなければならない。主として診断,治療,術後管理について綜説したいと思う。なお今日組織分類上また名称の点でも異論の多いChorioadenoma destru—ensについても述べることにする。
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