生涯研修セミナー 絨毛性疾患
胞状奇胎の診断
川島 吉良
1
Yoshiro Kawashima
1
1浜松医科大学産科婦人科学教室
pp.1119-1124
発行日 1988年12月10日
Published Date 1988/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207911
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胞状奇胎の診断に際しては,妊娠初期に不正子宮出血を起こした場合,本症の可能性も考慮して診察を進めることが肝要で,これに強度悪阻症状,妊娠中毒症状を合併しておればその可能性は否定できない。双合診所見として過大妊娠子宮,胎児徴候の欠如,卵巣ルテイン嚢胞,強度リビド着色,子宮出血を認め,超音波断層法で子宮内嚢胞エコー像,尿中hCG値100万iu/l以上を証明すれば本症と確診される。
以上は全胞状奇胎の典型的所見であるが,数年前より地域登録において部分奇胎が明示されるようになって以来,奇胎の約30%が部分奇胎と報告されている。これらは妊娠初期の人工中絶例や自然流産例に絨毛の一部が直径2mm以上に腫大嚢胞化して認められたものが大多数である。稀れに妊娠末期まで継続し胎児と共に胎盤の一部に嚢胞が散在して認められるものがある。
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