薬の臨床
卵巣過剰刺激症候群におけるD—ダイマーの臨床的検討
本山 光博
1
,
三浦 眞紀子
2
,
青柳 智子
1
,
真島 恵子
1
,
荒木 康久
1
1高度医療技術研究所・中央クリニック
2日本ビオメリュー・バイテック(株)
pp.231-235
発行日 1998年2月10日
Published Date 1998/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903190
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卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の合併症である血栓症の病態と治療法に関して,血液凝固線溶能の変化を把握することが臨床上重要である.体外受精施行例71例(予備群36例,OHSS群35例)について,各種凝固線溶系検査の変化とD—ダイマーの臨床的有用性について検討を行った.予備群が正常域を呈するのに対し,OHSS発症患者はAPTTの短縮,フィブリノゲンの増加と血液濃縮およびD—ダイマーの顕著な増加を認め,すでに凝固線溶系が活性化されていることを示唆していた.D—ダイマーは予備群とOHSS群において明らかに有意差(p<0.001)を認め,FDPよりも優れた線溶系マーカーとして有用性が高いと考えられた.また,今回の症例の重度OHSS患者は,D—ダイマーが3,000ng/ml以上を示す場合には微少血栓の発生を考慮し,DIC発生に留意すべきと考えられた.
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