増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック
Ⅱ. 婦人科編
❷婦人科救急疾患への対応法
卵巣過剰刺激症候群
瀧内 剛
1
1大阪大学大学院医学系研究科先端ゲノム医療学共同研究講座
キーワード:
卵巣過剰刺激症候群
,
ovarian hyperstimulation syndrome
,
OHSS
,
不妊治療
,
ヒト絨毛性ゴナドトロピン
,
human chorionic gonadotropin
,
hCG
Keyword:
卵巣過剰刺激症候群
,
ovarian hyperstimulation syndrome
,
OHSS
,
不妊治療
,
ヒト絨毛性ゴナドトロピン
,
human chorionic gonadotropin
,
hCG
pp.103-108
発行日 2024年4月20日
Published Date 2024/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211208
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
遭遇しやすい典型ケース
症例1
30歳の不妊治療中の女性.月経周期は不順であり多囊胞性卵巣症候群(polycystic ovarian syndrome : PCOS)と診断されていた.前医にてゴナドトロピン療法のうえ性交渉を指導された.黄体補充目的にヒト絨毛性ゴナドトロピン(human chorionic gonadotropin : hCG)を3日間投与され,月経27日目に卵巣過剰刺激症候群(ovarian hyperstimulation syndrome : OHSS)と診断,症状増悪のため月経29日目に当院に救急搬送された.
来院時の診察所見では,血圧110/70mmHg,心拍数110回/分,腹部膨満,両側卵巣は10cm大に腫大し,小骨盤腔を超える腹水貯留を認め,重症OHSSとして同日より6日間入院し輸液にて循環を保持した.入院後hCGの上昇を一過性に認めたため(生化学的妊娠),重症化が遷延することも想定されたが,hCG低下(流産)とともに腹部症状の改善を認めた.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.