増刊号 産婦人科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
婦人科編
II 内分泌・不妊
卵巣過剰刺激症候群
宮本 敏伸
1
,
水無瀬 学
1
,
千石 一雄
1
1旭川医科大学医学部産婦人科学講座
pp.80-82
発行日 2014年4月20日
Published Date 2014/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103676
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疾患の概要
卵巣過剰刺激症候群(ovarian hyperstimulation syndrome : OHSS)とは,排卵誘発剤投与によって多数の卵胞が発育し,hCG投与後に囊胞化と卵巣腫大を示し,血管外に蛋白の豊富な水分が流出し,結果的に血管内脱水になることで発症する医原性疾患である.脱水,血液濃縮,胸腹水の貯留,adult respiratory distress syndrome(ARDS),乏尿,電解質不均衡(低ナトリウム血症,高カリウム血症)などの症状を呈する.また同時に,低血圧,頻脈,中心静脈圧の低下が引き起こされ,重症型では生命予後にかかわる.ハイリスク群として,35歳以下,多囊胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome : PCOS),体外受精さらには妊娠が成立した場合などが挙げられるが,排卵誘発を行う際に本疾患を100%予防することは不可能であるため,排卵誘発を試みる際には外来にて事前に十分な説明を行うことが必須である.
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