今月の臨床 腫瘍マーカーは何を語るか
治療戦略への応用
7.子宮筋腫・内膜症によるfalse positive
中山 邦章
1
1信州大学医学部産婦人科
pp.200-203
発行日 1998年2月10日
Published Date 1998/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903179
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腫瘍マーカーとは,悪性腫瘍が産生する物質を主として血液中で検出することにより,悪性腫瘍の存在の有無を推定したり生体内における腫瘍の活動性を評価することができる物質のことである.しかし,臨床の場では悪性腫瘍が存在しないのにもかかわらず腫瘍マーカーの上昇が認められる場合があり,これを腫瘍マーカーのfalse posi—tive(偽陽性)と呼ぶ.これは現在用いられている腫瘍マーカーの多くが悪性腫瘍に特異的な物質ではないため,正常な組織でも少なからず産生されているものが,何らかの要因によりその産生の増加や血中への移行が促されて血中で上昇してくるために生じている.したがって臨床において腫瘍マーカーの評価を適正に行うためには,腫瘍マーカーと言われる物質の持つそれぞれの特性を理解し,正常組織や悪性腫瘍以外の腫瘍における発現形態についての知識も必要となる.ここでは,良性腫瘍の存在によって生ずる腫瘍マーカーのfalse positiveについて代表的なものを述べる.
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