今月の臨床 腫瘍マーカーは何を語るか
治療戦略への応用
8.組み合わせ測定と保険診療
天神 尚子
1,2
,
木村 好秀
1
1(社)東京都職員互助会三楽病院産婦人科
2日本医科大学産婦人科
pp.204-207
発行日 1998年2月10日
Published Date 1998/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903180
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腫瘍マーカーと「まるめ」
現在,臨床で汎用されている腫瘍マーカー(以下,マーカー)には多種多様なものがあるが,毎年多数の新しいマーカーが開発され報告されている.しかし,今後もそれぞれの症例の病態を的確に反映するような信頼度の高いマーカーが現れない限り,この現象はなお続くものと思われる.これまで汎用されているマーカーは臓器癌で陽性率が高率に出現するというものが大部分である.
マーカーの診断的価値は感度と特異度とであり,それらから得られた正診率で評価することになる1)が,単一のマーカーの使用だけでは診断上で納得できる成績の得られるものが少ない.そこで,現在広く行われているような複数のマーカーの組み合わせで測定を行って診断効率を上昇させようという試みがなされている.そこで従来から多くのマーカーを使用して,そのうちのどれかがマーカーとして利用できるのではないかという考えで多数の検査項目が提出されていた.しかし,マーカーは診療報酬の改正後,とくに過剰検査を抑制するターゲットとなった.そして現状では癌の特異性マーカーとして評価できるものは少なく,複数の癌にも共通して高値を示したり,癌以外の疾患に対しても高値を示すことがある.
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