今月の臨床 腫瘍マーカーは何を語るか
治療戦略への応用
6.妊娠の影響をどう評価するか
蝦名 康彦
1
,
櫻木 範明
1
,
藤本 征一郎
1
1北海道大学医学部産婦人科
pp.196-199
発行日 1998年2月10日
Published Date 1998/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903178
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腫瘍マーカーは「悪性腫瘍によって産生される物質で,正常ないし良性疾患の場合には産生されないもの」,すなわち腫瘍特異抗原であることが理想的である.しかし,現在,臨床の場で広く用いられている腫瘍マーカーの多くは腫瘍関連抗原である.つまり,悪性腫瘍のみならず正常組織でも作られる物質であり,良性腫瘍,炎症,妊娠などにより上昇を認め,その差は量的なものである.したがって,妊娠に合併した腫瘍の診断・管理に腫瘍マーカーを用いる場合には,その測定値の解釈に注意を要する.つまり陽性の結果が得られた場合,それが腫瘍によるためか,妊娠によるためか,あるいはその両者によるためなのかの鑑別が求められるからである.絨毛性疾患の腫瘍マーカーに関しては他稿に譲り,本稿では産婦人科領域で用いる機会の多い腫瘍マーカーについて妊娠・分娩が与える影響を教室の成績を交えて概説する.
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