明日の検査技師に望む
False positiveは出すな—(控え目な診断こそ肝要)
並木 恒夫
1
1国立仙台病院臨床検査科
pp.380
発行日 1992年5月1日
Published Date 1992/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901021
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昭和33年に東北大学病理学教室に入局して以来34年になる.昭和37年に,ちょうどこの年に新設された東北大学附属病院中央検査部に助手として赴任し,4年間お世話になった.この頃のことを石戸谷豊先生が本欄で述べられており,読んだ方々もおられると思う.その後昭和42年から4年間,レジデントとしてアメリカに留学し,anatomic pathology,clinical pathologyとcytologyを勉強してきた.昭和47年に国立仙台病院に赴任し,今年で20年目になる.
現在日本では病理学と臨床検査医学が別の専門分野になっているが,これは大変不幸なことと思っている.確かに病理学的診断は医師が下し,臨床家はその診断によって患者を治療することが多い.これに対して臨床検査医学の場合には,測定された検査値がそまま報告され,これをもとに臨床医が病態を判断するのが普通である.しかしこれがすべてではない.病理学的診断もその結果が常に患者の診断に結びつくわけではない.特に検査が陰性の場合には,それだけでは病気がないことを保証するものではない.
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