今月の臨床 ホルモン療法—新しい動向を探る
ホルモン療法のポイント
3.黄体機能不全
田辺 清男
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科
pp.1281-1283
発行日 1996年10月10日
Published Date 1996/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902687
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黄体機能不全(corpus luteum insufficiency)とは,文字どおりには黄体からのステロイドホルモンの分泌異常を意味するが,黄体機能不全によって引き起こされる生物学的現象(症状)としては,着床不全による不妊や初期流産などがある.一方,着床不全による不妊や流産は,たとえ黄体からのステロイド分泌は正常でも,子宮内膜のステロイドに対する反応不全などの原因によっても引き起こされることも考えられている.そこで,妊卵の着床不全をもたらす可能性のある黄体からのステロイドホルモン分泌異常と子宮内膜の増殖ならびに分泌機能の異常を含めて,広い意味で黄体期不全(luteal phase defect, luteal phase defi—ciency)などと言われることが多い.本稿でも両者を含めて記述することとする.
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