今月の臨床 習慣流産をとめる
病因を探る
4.黄体機能不全
三橋 直樹
1
,
桑原 慶紀
1
1順天堂大学医学部産婦人科
pp.646-647
発行日 1996年5月10日
Published Date 1996/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902531
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黄体機能不全(luteal phase defect)が不妊あるいは習慣流産の原因となるかについては,いまだに議論のある問題である.概念的には黄体機能不全は黄体のプロゲステロン分泌が不十分で,子宮内膜の分泌期内膜への変化が遅れるか不十分であることと定義できる.したがって黄体機能不全があれば受精卵の着床が障害されたり,あるいは着床しても子宮内膜側の要因により流産してしまうというのはごく自然のように聞こえる.たとえば黄体機能不全が原因となっている不妊は65%あるという論文や,習慣流産の40%は黄体機能不全であり,プロゲステロンの補充でその81%が生児を得たという報告もある1).似たような報告はほとんど無数といってよいくらいに発表されている.しかし不妊症患者や習慣流産患者に黄体期のプロゲステロン補充やhCG投与などはほとんど行われていないのが現実である.ここでは黄体機能不全と習慣流産の関連について筆者の考えを述べてみる.
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