今月の臨床 婦人科腫瘍境界悪性—最近の知見と取り扱いの実際
取り扱い方針について
5-3.絨毛性疾患—絨毛癌と侵入奇胎の鑑別点
半藤 保
1
,
大野 正文
1
1香川医科大学母子科産科婦人科
pp.1063-1067
発行日 1996年8月10日
Published Date 1996/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902632
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わが国の約47%の人口がカバーする全国22地域における1992,1993年の2年間における絨毛性疾患地域登録成績1)によると,臨床的侵入奇胎を含む侵入奇胎は166例(侵入全奇胎145例,侵入部分奇胎21例),臨床的絨毛癌を含む絨毛癌は60例であった(表1).したがって,わが国の年間侵入奇胎ならびに絨毛癌発生数は,それぞれ176例,64例前後と推定される.両者の比は,絨毛癌1に対し侵入奇胎2.8である.
侵入奇胎と絨毛癌とは,その臨床症状や所見がよく似ており,鑑別診断が困難である.しかしながら絨毛癌はその診断,取り扱いを誤まると今日でも依然として致死的経過をたどることがあるので,良性の経過をとる侵入奇胎との鑑別はきわめて重要である.
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