特集 産婦人科医に必要な臨床病理の知識その2
絨毛性腫瘍(2)—絨毛上皮腫および破壊性奇胎
細川 勉
1
Tsutomu Hosokawa
1
1東京慈恵会医科大学産婦人科教室
pp.835-839
発行日 1966年10月10日
Published Date 1966/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203577
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はじめに
悪性腫瘍の診断ということでは,現在その確診は病理組織学によつて決定されている。胃癌と共に人癌の双壁と言えるほど多い子宮頸癌もそうであるが,産婦人科領域で取扱う悪性腫瘍には,Bio—psyの容易なものが多い。つまり産婦人科では悪性腫瘍をきわめて直載的に診断し得ることが多いといえる。またこの悪性腫瘍の診断という臨床医にとり重大な問題を別にしても,子宮内膜掻爬という操作が日常きわめてしばしば行なわれるために,産婦人科では組織採取の機会が多いと言つてよいであろう。従つて他の外科領域にも共通して言える手術による剔出物の検査ということを別にしても,産婦人科医には臨床病理の知識がぜひ必要であると思われる。絨毛性腫瘍の臨床病理に関してはすでに再三報告してきたが,今回は編集部より与えられた焦点である組織のとり方や見方を中心とし,これに関する臨床医としての注意や態度につき私見を述べることとする。
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