今月の臨床 婦人科腫瘍境界悪性—最近の知見と取り扱いの実際
取り扱い方針について
5-4.絨毛性疾患—絨毛癌の化学療法選択基準(プライマリケモセラピィ)
丸尾 猛
1
,
浜名 伸也
1
1神戸大学医学部産婦人科
pp.1068-1071
発行日 1996年8月10日
Published Date 1996/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902633
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絨毛癌は,トロホブラストを母地として発生し,早期より血行性転移を起こしやすい腫瘍であるが,近年,絨毛性疾患管理の徹底化と化学療法の進歩により,その早期発見と治療成績は著しい改善をみた.しかし転移性絨毛癌,とくに複数臓器転移絨毛癌では治療に抵抗性を示す難治性絨毛癌が少なからず存在する.
絨毛癌には,正常妊娠あるいは奇胎妊娠の続発変化として生じる妊娠性絨毛癌と卵巣の胚細胞性腫瘍の一型として発生するものおよび他癌の分化異常によって生じるものとがあるが,大多数は妊娠性絨毛癌である.妊娠性絨毛癌の約半数は正常妊娠を先行妊娠とするが,残りの半数は奇胎妊娠の続発変化として発生することが判明している1).とくに奇胎続発の絨毛癌では,奇胎娩出後血中hCG値がひとたび寛解基準値へ低下した後,再び上昇に転ずるという特異なhCGパターンを示すのが特徴的である2).
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