今月の臨床 婦人科腫瘍境界悪性—最近の知見と取り扱いの実際
取り扱い方針について
5-2.絨毛性疾患—PSTTについて
中島 伸夫
1
1名古屋大学医学部臨床検査医学
pp.1060-1062
発行日 1996年8月10日
Published Date 1996/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902631
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中間型栄養膜細胞intermediate trophoblastが主役を演ずる病変として胎盤部トロホブラスト腫瘍placental site trophoblastic tumor(PSTT),過大着床部exaggerated placental site,着床部結節placental site nodule and plaqueがあり,正式に「絨毛性疾患取扱い規約」1)に採用された.
1976年Kurmanら2)は,着床部において栄養膜細胞の著しく増生する特徴のある病変をtro—phoblastic pseudotumorと呼んだ.12例の症例はいずれも肉眼的にも組織学的にも腫瘍neo—plasmの性格を認め,子宮筋層に深く浸潤する例もあったが,再発も転移もみられず,syncytial en—dometritis(=exaggerated placental site)の極型にあたると考えられた.しかしtrophoblasticpseudotumorの報告が増えるにしたがって,少数の症例が悪性の経過を示すことがわかり3),1981年ScullyとYoungはplacental site trophoblas—tic tumor (PSTT)と呼ぶことをあらためて提案し4),現在はこの名称が広く受け入れられている5).
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