連載 産婦人科クリニカルテクニック
ワンポイントレッスン—私のノウハウ
切迫流早産で胎胞膨隆を伴った子宮頸管開大例の頸管縫縮術—バルーンおよび挿入器を利用した術式
神津 弘
1
1聖路加国際病院
pp.838-839
発行日 1996年6月10日
Published Date 1996/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902577
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最近では少産化が著しくなり他に重大な合併症や疾患を持たない妊婦の場合は,積極的に流早産を防止する努力が必要である.妊娠初期および中期の頸管無力症で胎胞の膨隆を伴った症例の治療には苦心することが多い.この処置で重要な点はいかに破水をさせず,頸管の縫縮を行うかである.私の考案したバルーンメトロイリンテルとその挿入器を用いて胎胞を子宮内に還納し,McDonald頸管縫縮術を行って生児を得た10数例を経験したので,その方法を述べる.
方法 妊婦にサドルブロック麻酔を行い,麻酔の固定化とレベルを確認後に抗子宮収縮剤を点滴で投与しつつ、截石位で導尿後,外陰部の消毒を十分にし強度の骨盤高位にした.腟内を消毒する際には破水を避けるため細心の注意を払い,同時に子宮頸管および腟の分泌物の細菌培養と,もし感染があれば起炎菌の感受性試験を行えるように資料を採取し、術野の被布をした.バルーンメトロイリンテルと挿入器は筆者が,20数年前に考案した神津式K—メトロイリンテルの一式である(図1),元来は誘発分娩時の頸管開大を目的としたものであるが,このような症例では比較的簡易に膨隆した胎胞を還納させ,頸管を閉鎖するために役立つことがわかり利用した.
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