私の工夫
妊婦における臍下小切開創(マーク切開)による卵巣嚢腫核出術
合阪 幸三
1
,
笹森 幸文
2
,
國保 健太郎
1
,
斉藤 英樹
1
,
都築 浩雄
1
,
鳥谷 葉子
1
,
吉田 浩介
1
,
森 宏之
2
1賛育会病院産婦人科
2帝京大学医学部産婦人科
pp.785-788
発行日 1995年6月10日
Published Date 1995/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902167
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臍下小切開(いわゆるマークの切開)により開腹し,嚢腫内容を吸引することにより,内視鏡手術と同様に患部を腹腔外に露出し,核出する方法を開発したので報告する.本術式の適応は,妊娠初期に発見できなかったか,もしくは自然消失を待って経過観察していたが,消失しなかったような症例(妊娠16週以後)で,通常の切開だと妊娠子宮が邪魔になるため,大きな切開が必要となる場合である.術前に超音波断層法により悪性所見のないことを十分確認し,全身麻酔もしくは腰椎麻酔下にマーク切開(2〜3cm)にて開腹する.次いで,無鉤のピンセットで嚢腫を把持し,メスで穴をあけて嚢腫内容を十分に吸引する.その後,創部より嚢腫を引っ張りあげ,腹腔外で嚢腫核出術を行う.終了後は,止血を十分に確認し,牽引解除後の卵巣の創面からの出血を予防し,かつ付属器周辺の癒着を防止する目的で,患部をベリプラストにて包埋し腹腔内に戻す.本術式は,妊娠の中期以後で発見された癒着のない良性卵巣嚢腫に対して,手術侵襲も少なく,試みられてよい方法であると考えられる.
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