私の工夫—手術・処置・手順・12
小切開による胆嚢摘出術
平井 淳一
1
,
白髭 健朗
1
Junichi HIRAI
1
1原尾島病院外科
pp.1042
発行日 1995年8月20日
Published Date 1995/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901943
- 有料閲覧
- 文献概要
腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下LCと略)は,今や胆石症に対する標準的な手術術式として定着してきたといえる.しかし一方では,開腹による胆嚢摘出術も,LCからの開腹移行例あるいは何らかの理由でLCが不可能または不適当と判断された症例に対して行われている.このような症例に対し,われわれはLCの利点であるminimally inva—sive surgical techniqueを取り入れた,小切開による胆嚢摘出術を行っているので,その手術手技について述べる.
麻酔は原則として脊椎麻酔を用いる.手術体位は頭高位で,30度の右側挙上位とし,術者は患者の左側に立つ.皮膚切開は腹部正中線と鎖骨中線との中間線で肋骨弓下縁から2cm離れた下方で3cmの縦切開とする.この切開線の直下にCalotの三角がある.筋膜,腹膜ともに3cmの縦切開で開腹する.なお,腹直筋は線維の方向に鈍的に裂く.腹膜,腹直筋後鞘を4針の結節縫合で皮膚に縫合して視野を良くする.開腹創より5.0×5.0×15.0cmのスポンジを3個腹腔内に挿入し,開創器を使わずに細い腸ベラでスポンジ上から十二指腸,横行結腸,大網を圧排するとCalotの三角が直視下に入ってくる.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.