産婦人科クリニカルテクニック ワンポイントレッスン—私のノウハウ
子宮鏡を用いた選択的卵管通水法
宮崎 豊彦
1
,
野澤 志朗
1
1慶応義塾大学
pp.789
発行日 1994年6月10日
Published Date 1994/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901789
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子宮卵管造影法(HSG)は,卵管疎通性の検索など,不妊症において,多くの情報を得られる確立された検査方法である.しかしながら,しばしば間質部での筋のspasmあるいは微小血栓などにより,実際には通過性があるにもかかわらず卵管閉塞と診断される場合がある.卵管閉塞の診断がつくと(特に両側性の場合),腹腔鏡を行ったり,治療を目的とした通気あるいは通水が行われるが,腹腔鏡は侵襲的検査あるいは治療法であり,通気・通水は閉塞症例に対してその診断的,治療的信頼性が低い.これに対し,今回紹介する子宮鏡を用いた選択的卵管通水法は外来で行うことのできる簡便な方法で,かつ,一般的な通水法に比べ信頼性が高く,さらにHSGにて卵管閉塞と診断された症例に対する治療効果も認められる有用な方法である.
筆者は,フレキシブル・ヒステロファイバースコープ(オリンパスtype HYF-P)を用いて選択的通水を行っている.これは,ファイバー部分の全長25cm,外径3.6mmでチャンネルの内径1.2mmである.チャンネル入口部に卵管内人工授精(HIT)用に開発した三方活栓とゴム栓付きカテーテル(PR−22 SV-D,オリンパス)を装着し,チャンネル内に導入する.このカテーテルの先端には5mmと10mmの目盛りが付いており,卵管口への挿入深度の目安となる.子宮腔内観察のためCO2灌流を行う.
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