今月の臨床 治療にてこずる感染症
C型肝炎
14.C型肝炎の治療法
松嶋 喬
1
Takashi Matsushima
1
1北海道大学医学部第三内科
pp.1076-1078
発行日 1993年9月10日
Published Date 1993/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901439
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C型肝炎ウイルス(HCV)は,免疫能の正常な成人への感染でも,高率にHCVの持続感染状態へ移行するウイルスであり,HCVに起因する慢性肝疾患の進展には,持続感染状態が重要な因子となっている。しかし,HCV感染によって,持続感染状態となる頻度,慢性肝炎への移行率,肝硬変,肝細胞癌への進展率については,正確にはわかっていない。輸血後肝炎を例にとると,C型急性肝炎の慢性化率は60〜80%とする報告が多く,prospective studyによれば,10年後には約20%が肝硬変に進展することが報告されている。一方,輸血以外の感染ルートによるHCV感染,いわゆる散発性C型急性肝炎の慢性化率,肝硬変,肝細胞癌への進展率については,ほとんど知られていない。
いずれにしても,HCV持続感染者が,経過中にHCVが排除される頻度はきわめて低率のため,HCVに起因する肝疾患の原因療法には,HCVが排除される可能性が明らかにされているインターフェロン(IFN)が第一選択薬として広く臨床に用いられている。本稿ではHCVに起因する,急性肝炎,慢性肝炎,肝硬変に対する治療の要点と問題点について述べてみたい。
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