今月の臨床 更年期障害
治療
26.トランキライザー
岡村 靖
1
Yasushi Okamura
1
1産業医科大学産婦人科学教室
pp.578-581
発行日 1991年5月10日
Published Date 1991/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900425
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更年期障害の診断・治療に際しては,症状がいかなる原因で発生してきたかを究明することが重要な意義を有しており,その発生機序について,心理学,内分泌学,および自律神経学の3方面から系統的な考察を行うことが必要である。従って,更年期障害を診断する際には表1に示す新しい概念で診断および治療を行うことが肝要ある。
すなわち,f1は精神的反応psychogenic fitness,f2は身体的反応somatic fitness,xは遺伝因子genetic factor,yは環境因子situational factor,tは時間因子time factor,およびzは更年期障害を示したものである。f1のxにより発症する不定愁訴は先天性の性格が濃いcaseであり,f1のyによるものは,家庭内の心的葛藤,または勤務上の心労などがある。f2のxによるものは,geneticな卵巣形成不全による早期閉経があり,広義に解釈すれば,加齢agingによる卵巣機能の衰退も含まれる。f2のyによるものは,身体的な過労や卵巣摘除などがある。f1のtは精神的荷重(心的ストレス)が加わってからの期間を意味し,f2のtは身体的環境荷重が加わってからの期間を示す。以上のような数式化による概念で,更年期障害の診断と治療を行うことが必要である。
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