今月の臨床 更年期障害
治療
27.精神心理療法
金上 宣夫
1
Nobuo Kanagami
1
1育愛会札幌東豊病院
pp.582-585
発行日 1991年5月10日
Published Date 1991/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900426
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
更年期は成人病好発年代でもあり,更年期障害は成人病や神経症・欝病との鑑別が必要で,これらの疾患を除外した不定愁訴症候群である。人は種々の精神的ストレスに常時さらされており,更年期は慢性的なストレスの蓄積が,自律神経系を介して内分泌系の障害や精神神経系の障害を来し,身体面にまで影響を及ぼす時期と考えられる。この精神的ストレスは特別なのでなく普段の生活の中に起因していることが多い。このことから更年期障害を慢性的なストレスの蓄積の長期的な影響の自律神経失調と老化による内分泌障害とが重なったものと考えることができる。治療を考える場合,成人病や神経症を含めて症状にあわせた対症療法だけでは完全でなく,患者の生活面でのストレスによる精神的疲労を除かない限り不定愁訴が治らなかったり,直ぐに再発してそれを繰り返したりして,神経症や心身症を固定化させてしまうことになる。
このように更年期障害を心身医学的に診る必要があるが,今回更年期障害の外来における精神心理療法の私なりの考えを述べてみたい。
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.