今月の臨床 Preterm PROM—34週までの問題点
PROMの診断
9.絨毛羊膜炎(CAM)の診断
高橋 晃
1
,
浮田 昌彦
1
Akira Takahashi
1
,
Masahiko Ukita
1
1倉敷中央病院産婦人科
pp.156-157
発行日 1991年2月10日
Published Date 1991/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900298
- 有料閲覧
- 文献概要
絨毛羊膜炎(Chorioamnionitis,CAM)は最近PROMとの関係が注目されてきている。すなわち,子宮収縮もないままに卵膜の破綻をきたす原因として,局所的なCAMの存在が強く疑われてきた。したがって,PROM症例の何割かはCAMの合併があると考えられる。また,CAMを伴ったPROMでは陣痛の抑制が困難となり易いこともよく経験される。CAMの児に与える影響としては周産期死亡,新生児の重症感染症などが指摘されている。そのためCAMの重篤な影響があらわれる前に,児の予後改善のための適切な処置を講じるためにCAMを早期に診断することは重要な意味を持って来ると考えられる(図1)。
妊娠中の健常な頸管粘液,卵膜,羊水などは腟の常在菌であるデーデルライン桿菌と共に腟からの上行感染に対する自然防御機構として作用している。これらの防御機構になんらかの破綻を来し,上行感染が絨毛・羊膜におよび炎症をきたした状態がCAMと考えられる。したがって,CAMは絨毛・羊膜の病理組織検査での炎症所見の有無により最終的に診断が行われる。Blancはその炎症の程度を図2のようにgrade IからⅣに分類している。
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.