今月の臨床 Preterm PROM—34週までの問題点
PROMの診断
8.羊水感染症の診断
久保 隆彦
1
Takahiko Kubo
1
1高知医科大学産科婦人科学教室
pp.154-155
発行日 1991年2月10日
Published Date 1991/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900297
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羊水が抗菌作用を有することはよく知られている。これは羊水にリゾチーム,トランスフェリン,亜鉛,燐酸,ペルオキシダーゼ,β—リジン,陽イオンペプチド,免疫グロブリンなどを含有するためと考えられている。しかし,破水後の時間が経過すればするほど羊水は抗菌作用を失い,むしろ菌の培地となるため上行性の羊水感染症が起こり易くなる。34週以前の前期破水では破水後長期管理することは胎児の肺などの成熟を促進する利点を有するが,一方,羊水感染により児の予後を悪化させる欠点を持つために,日常診療ではいつ分娩させるかに苦慮させられる。この点からも,正確に羊水感染症を診断することが重要であるが,どの診断法にも偽陽性,偽陰性を含むために現実には困難である。そこで,羊水感染症を強く疑わせる症状,検査成績について最近の報告を交え述べてみたい。
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