今月の臨床 胎児環境をチェックする
卵膜
19.絨毛羊膜炎の診断と局所療法
千村 哲朗
1
Tetsuro Chimura
1
1山形大学医学部産婦人科
pp.1326-1327
発行日 1993年11月10日
Published Date 1993/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901515
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羊膜腔内の感染は,臨床上の表現で混乱していたが,病理組織学的見地よりchorioamnionitis(CAM)の用語が妥当(Driscoll,1973.Charlesら,1983)であり,羊水中に細菌の検出を認める状態でも臨床的に感染症状を呈しない場合はasymptomatic, unrecognized, silentなどの表現が報告されている。またamniotic infection syn—drome(Blanc,1959)はCAMと胎児肺感染症などの合併が認められる状態である。
羊水は無菌的であると考えられていた時代から,羊水穿刺による各種細菌の検出とCAMの存在による早産・PROM発生が注目されるに至ったが,臨床診断の基準として従来報告されている母体発熱・母体頻脈・子宮筋緊張・羊水の悪臭などの臨床所見は,感染末期の症状であり,実際の治療と予後に対しての臨床的意義はきわめて低い。近年,CAMの早期診断に対する各種マーカーが検討され,その臨床的評価が報告されているが,その概要と局所療法について述べる。
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