症例
CCRT直前に脳出血を発症したが,治療を完遂できた子宮頸がんⅡB期の維持透析患者の1例
向山 文貴
1
,
木村 博昭
1
,
後藤 優希
1
,
廣瀬 雅紀
1
,
安部 真希子
1
,
清水 わか子
2
,
平敷 好一郎
1
1君津中央病院産婦人科
2君津中央病院放射線治療科
pp.599-604
発行日 2022年6月10日
Published Date 2022/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210727
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▶要旨
維持透析患者の子宮頸がんに対して同時化学放射線療法(CCRT)を施行した報告例は少ない.今回,子宮頸がんⅡB期の維持透析患者に対して,直前に脳出血を発症したがCCRTを完遂できた症例を経験した.患者は57歳,6経妊6経産.本態性高血圧症による慢性腎不全で15年前より維持透析を受けている.発熱,下腹部痛を主訴に前医受診し,単純CT検査で子宮囊胞性腫瘤を認めたため当科紹介受診となった.精査により子宮留膿腫,子宮頸部扁平上皮癌ⅡB期(T2bN0M0)の診断となった.当科初診10日後に高血圧緊急症による左被殻出血を偶発的に発症し,当院脳神経外科で保存加療を受けた.右片麻痺が残存したが,全身状態は良好なためCCRTを行う方針とした.当科初診29日後より開始し,シスプラチンは非透析日に標準投与量から50%減量した20mg/m2/週で投与した.大きな有害事象なくCCRTを完遂し,評価で完全奏効と判定した.治療後2か月の現在,再発なく経過している.
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