症例
閉経後に不正性器出血と子宮腺筋症の増大を認めた14mm大のエストロゲン産生ステロイド細胞腫瘍の1例
小川 美咲
1
,
木村 博昭
1
,
中嶋 太郎
1
,
廣瀬 雅紀
1
,
安部 真希子
1
,
太田 正志
2
,
徳山 宣
3
,
野口 寛子
3
,
前田 大地
4
,
平敷 好一郎
1
1君津中央病院産婦人科
2君津中央病院放射線科
3君津中央病院病理診断科
4大阪大学大学院医学系研究科先端ゲノム医療学講座
pp.1003-1008
発行日 2021年10月10日
Published Date 2021/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210509
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▶要旨
ステロイド細胞腫瘍は卵巣腫瘍のうち0.1%にみられる稀な腫瘍で,平均で8cm程度の充実性腫瘤を示し,エストロゲンやアンドロゲンを産生して内分泌学的徴候を伴うものもある.今回,閉経後に不正性器出血と子宮腺筋症の増大を認めた14mm大のエストロゲン産生ステロイド細胞腫瘍の1例を経験したので報告する.
症例は73歳,42歳閉経.不正性器出血で受診したが通院自己中断し,1年後に不正性器出血で再度受診した.その際に右卵巣と腺筋症は増大し,E2は高値であった.子宮頸部・体部細胞診に腫瘍細胞は確認されず,maturation indexは右方移動を示した.エストロゲン産生卵巣腫瘍疑いで子宮全摘術と両側付属器切除術を施行し,右卵巣steroid cell tumorと診断された.術後E2は低下した.年齢に比して説明しにくい内分泌学的症状がある際には,腫瘍径が小さくともホルモン産生腫瘍の可能性があるため,超音波検査や血中ホルモン値,細胞診のmaturation index値などにより腫瘍を検索することが重要である.
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