症例
腹腔内大量出血を伴う卵巣出血に対して血管塞栓術にて止血を得た1例
春石 真菜
1
,
廣瀬 雅紀
1
,
鈴木 利直
2
,
岡安 慶太
1
,
竹原 直希
1
,
安部 真希子
1
,
木村 博昭
1
1君津中央病院産婦人科
2君津中央病院救急・集中治療科
pp.931-936
発行日 2023年9月10日
Published Date 2023/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211062
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▶要旨
卵巣出血は,結紮や電気メス凝固などによる止血が必要となることがある.今回,腹腔内大量出血をきたした卵巣出血に対して血管塞栓術で止血を得た1例を経験した.
症例は27歳,G3P0.性交渉後に腹痛を自覚したためA医院を受診したところ,腹腔内出血を疑われ,当院へ搬送となった.超音波検査で7cm大の右付属器腫瘤と上腹部へ及ぶ腹腔内液体貯留を認めた.造影CT検査で右付属器近傍に造影剤の血管外漏出像を認め,右卵巣出血による腹腔内出血を疑った.全身状態は安定しており,血管塞栓術による止血を図った.右卵巣動脈をゼラチンスポンジで塞栓し,止血を得た.術後経過は良好で,入院7日目に退院となった.超音波検査で右卵巣の排卵の有無を観察予定であったが,外来受診を自己中断された.
腹腔内大量出血を伴う卵巣出血に対して,血管塞栓術を行うことで手術を回避できた.卵巣出血に対する血管塞栓術は開腹手術や腹腔鏡手術以外の治療の選択肢の1つとなりうる.
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