症例
腸管子宮内膜症による腸閉塞を発症した一卵性双胎姉妹の1例
新井 未央
1
,
木村 博昭
1
,
片山 恵里
1
,
藤田 久子
1
,
糸井 瑞恵
1
,
神下 優
1
,
神山 正明
1
,
井上 泰
2
,
平敷 好一郎
1
1君津中央病院産婦人科
2君津中央病院病理部
pp.579-584
発行日 2017年6月10日
Published Date 2017/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209101
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▶要約
一卵性双胎の姉妹がともに腸管子宮内膜症に伴う腸閉塞を発症した稀な症例を経験した.症例1は43歳,2経産の姉.1年ほど前から月経時の腹痛と下血があった.月経中に強い腹痛を生じ,下部消化管内視鏡検査でS状結腸の閉塞を指摘された.保存的治療後,S状結腸切除術を施行.S状結腸漿膜下〜粘膜下層に広汎な子宮内膜組織を認め,腸管子宮内膜症の診断に至った.症例2は44歳,未経産の妹.8年ほど前から月経前日に腹痛と下血があり,腸管子宮内膜症が疑われていた.月経開始後の腹部症状を主訴に受診し,精査にてS状結腸および直腸の狭窄を認めた.子宮筋腫と左卵巣チョコレート囊胞もあり,開腹手術を施行.姉と同様,S状結腸に広汎な子宮内膜組織を認めた.双胎における希少部位子宮内膜症の報告は数少ないが,過去の研究により子宮内膜症の発生には複数の遺伝的因子の関与が示されており,家族歴の聴取は診断の一助となりうる.
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