症例
チョコレートの長期多量摂取が原因として疑われた胎児動脈管早期収縮の1例
髙橋 誠志郎
1,2
,
木村 博昭
2
,
向山 文貴
2
,
後藤 優希
2
,
廣瀬 雅紀
2
,
安部 真希子
2
,
平敷 好一郎
2
1千葉市立海浜病院産科
2君津中央病院産婦人科
pp.1157-1161
発行日 2023年11月10日
Published Date 2023/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211100
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
▶要旨
胎児動脈管早期収縮(PCDA)は胎児期に動脈管が収縮し,右心不全による胎児水腫や子宮内胎児死亡をきたしうる疾患である.今回,チョコレートに含まれるポリフェノールの過剰摂取が原因として疑われたPCDAの1例を経験した.
症例は33歳,1妊0産.妊娠33週2日,GDM,heavy for date,羊水過多のため,当科紹介となった.上記のほか,切迫早産の診断で入院管理とした.妊娠34週2日の超音波検査で胎児の右心系拡大・三尖弁逆流および動脈管の狭窄を認めた.問診により妊娠中はチョコレートを毎日約100g摂取していたことが判明した.PCDAの疑いで同日緊急帝王切開を施行した.児は早産児のためNICU入院となり,入院時の超音波検査で動脈管はすでに閉鎖していた.母児ともに特記すべき合併症なく退院した.
本症例から,チョコレート100g分のポリフェノール摂取はPCDAのリスクとなることが示唆された.胎児超音波検査で右心系拡大を認めた場合,PCDAを念頭に置いて精査することが重要である.
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.