今月の臨床 エキスパートに聞く 耐性菌と院内感染―産婦人科医に必要な基礎知識
耐性菌各論―診断法と制御・治療戦略
バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)
富田 治芳
1,2
,
久留島 潤
1
,
橋本 佑輔
1
1群馬大学大学院医学系研究科細菌学
2群馬大学大学院医学系研究科薬剤耐性菌実験施設
pp.734-743
発行日 2021年8月10日
Published Date 2021/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210461
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●バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)は多剤耐性の腸管内常在菌で,VRE感染症の多くは保菌者の排泄物(糞便・尿)を介した院内感染および自己感染が原因である(接触感染・経口感染).
●VRE感染症を診断した際には5類感染症(全数把握)として届けるとともに,ただちに入院患者の保菌状況の調査(検便)と環境の汚染状況の調査を行い,感染対策を徹底する.
●VREには複数の耐性型と菌種があり,主な耐性型はVanA型とVanB型,問題となる菌種はEnterococcus faecalisとE. feaciumで,年間100症例程の報告がある.
●治療は薬剤感受性結果をもとにした抗菌薬の投与であるが,E. faecalisではアンピシリンとゲンタマイシンの併用,E. feaciumではリネゾリドやダプトマイシンなどが用いられる.
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