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今月の特集2 グローバル化時代の耐性菌感染症
バンコマイシン耐性腸球菌
Vancomycin-resistant Enterococcus(VRE)
富田 治芳
1,2
,
谷本 弘一
2
,
久留島 潤
1
,
千葉 菜穂子
1
,
野村 隆浩
1
,
橋本 佑輔
1
1群馬大学大学院医学系研究科細菌学分野
2群馬大学大学院医学系研究科附属薬剤耐性菌実験施設
キーワード:
バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)
,
多剤耐性菌
,
5類感染症
,
獲得耐性
,
分子疫学解析
Keyword:
バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)
,
多剤耐性菌
,
5類感染症
,
獲得耐性
,
分子疫学解析
pp.68-82
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200680
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Point
●バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)は腸管内常在菌の腸球菌(主にEnterococcus faeciumとEnterococcus feacalis)が外来性に耐性遺伝子(VanA型,VanB型など)を獲得することによる獲得耐性であり,多くは多剤耐性を示す.
●欧米諸国をはじめ近隣諸国(中国,台湾,韓国)の医療環境でVREが増加・まん延しており,主要な院内感染症起因菌として高度先進医療を行ううえで深刻な問題となっている.
●国内ではVRE感染症は5類感染症に分類され,バンコマイシンの最小発育阻止濃度(MIC)値16mg/L以上を示す腸球菌による感染症は全数報告の義務があり,年間100例前後の発生を認める.
●VREは患者や保菌者の排泄物,汚染物を介した経口感染によって他の患者,および健常人(医療従事者)の腸管内に定着し,保菌状態となる(院内伝播・拡散).
●VREは院内で拡散しやすいため,その制御には適正な抗菌薬使用と同時に,保菌者の把握(VREの早期発見,正確な検出)と接触予防策を含めた積極的な感染対策が重要である.
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