合併増大号 今月の臨床 産婦人科感染症の診断・管理─その秘訣とピットフォール
早産と周産期感染症
早産の機序と生体反応
永松 健
1
1東京大学産婦人科学教室
pp.125-131
発行日 2018年1月10日
Published Date 2018/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209239
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●早産はさまざまな背景因子に起因して生じる症候群としての性質をもつ.頸管を経由した上行性の病原体侵入による子宮内感染が主要な原因となるが,それに対して抗菌薬を用いて予防・治療することは困難と考えられている.そのため,ハイリスク妊婦の同定と感染を生じる前段階での予防的アプローチが必要である.
●プロゲステロン作用の減弱や子宮局所の炎症─抗炎症バランスの異常は早産を誘発する要因となるが,それらに対してはプロゲステロン補充療法,抗炎症性物質の投与などによる早産防止効果が期待される.
●現在,頸管長測定が広く行われ,切迫早産症状を生じる以前の段階で早産の進行が察知されることが多いが,今後個々の早産ハイリスク妊婦の背景にある病態機序を判別できる新規バイオマーカーの開発が重要な課題である.
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