特集 子宮内膜症—最近の話題
子宮内膜症性不妊症と配偶子操作
井上 正人
1
,
小林 善宗
1
,
本田 育子
1
,
淡路 英雄
1
,
松山 毅彦
1
,
津田 明男
1
,
藤井 明和
1
Masato Inoue
1
1東海大学医学部産婦人科教室
pp.743-747
発行日 1989年8月10日
Published Date 1989/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208049
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難治性不妊の治療にとって,配偶子操作は今や不可欠なものである。子宮内膜症性不妊とて例外ではない。卵管閉塞を伴う子宮内膜症術後不妊はもちろんのこと,初期の子宮内膜症であっても通常の治療法で妊娠しなければ,配偶子操作に頼らざるを得ない。子宮内膜症が不妊を惹起するメカニズムについてはまだよく分っていないが,着床障害を別にすれば,その他の原因はすべて少なくとも理論的には配偶子操作で治療可能である。精子の卵管内輸送障害や卵子のpick-up障害が原因であれば配偶子卵管内移植GIFTが,卵管内受精障害が主因であれば体外受精卵卵管内移植IVF-ETRが,また受精卵の発育障害が関与していれば体外受精‐胚移植IVF-ETがもっとも適切な治療法となるはずである。
再発性の子宮内膜症もチョコレート嚢腫のアルコール固定とIVF-ETを組み合わせることにより,十分治療できるようになった。
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