産婦人科医療--明日への展開 生殖のコントロール--不妊治療への展望
不妊症の手術療法—適応と限界
井上 正人
1
,
篠原 正樹
1
,
篠塚 孝男
1
,
藤井 明和
1
Masato Inoue
1
1東海大学医学部産婦人科学教室
pp.27-31
発行日 1983年1月10日
Published Date 1983/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206743
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近年婦人科領域にmicrosurgeryが応用されるようになって,不妊症の手術療法は大きく変ってきた。不妊手術後の再疎通術はmicrosurgeryの絶好の対象となり,術後の妊娠率50〜80%という画期的な成績が報告されている1〜3)。また卵管角部の閉塞は,これまでは子宮内卵管移植しか方法はなく,あまり手術の適応にならなかったが,microsurgeryによりそのほとんどが端々吻合できるようになった4)。卵管開口術においても,疎通率は90%以上で,術後の癒着は極めて少ないと報告されている。microsurgeryによって卵管形成術は一変したと言っても過言ではない。しかし,microsurgery5〜10)にもおのずから限界があり,卵管開口術において,疎通性は90%以上回復するのに,妊娠率が30〜40%とあまり良くないのは手術療法の限界を端的に示しているものといえよう。
本稿では不妊症の手術療法におけるmicrosurgeryの適応と限界,今後の問題について考察したい。
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