特集 子宮内膜症—最近の話題
ホルモン療法の問題点
寺川 直樹
1
,
水谷 隆洋
1
,
坂田 正博
1
,
寺田 信行
2
Naoki Terakawa
1
,
Nobuyuki Terada
2
1大阪大学医学部産婦人科学教室
2大阪府立成人病センター実験病理
pp.737-742
発行日 1989年8月10日
Published Date 1989/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208048
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
子宮内膜症は生殖年齢層に発症し,その進展は卵巣ホルモンであるエストロゲンに依存する。したがって血中エストロゲンレベルを低下させる目的で種々の薬剤が開発され,これら薬剤を用いて本症に対する内分泌療法が行われてきた。内膜症治療薬剤としては,現在のところ17α-ethinyltestosteroneの誘導体であるDanazolが最も広く使用され,その有効性はすでに確認されている。しかしながら,治療後の早期再発あるいは進行期症例における無効例など現行の内分泌療法には限界があると言わざるを得ない。近年,難治性疾患である本症に対してgonadotropin-releasing hormone (GnRH)アゴニストが導入されつつある。GnRHアゴニストの導入により,本症に対する内分泌療法の有効性がさらに高まることが期待されるが,同時により有効な内分泌療法の確立が望まれる。そのためには,各種薬剤の内膜症に対する治療機序を踏まえた上での薬剤の選択が不可欠と思われる。現行のDanazol療法においてさえその作用機序に未だ不明な部分が残されているが,本稿では日常の内膜症診療に寄与することを目的としてDanazolとGnRHアゴニストの作用機序と効果について概説を試みたい。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.