先進医療—日常診療へのアドバイス 特集
生殖医学の進歩
卵胞卵採取手技の進歩—超音波ガイドによる経膀胱的卵胞穿刺
井上 正人
1
,
本田 育子
1
,
小林 善宗
1
,
藤井 明和
1
Masato Inoue
1
1東海大学医学部産婦人科教室
pp.207-209
発行日 1986年3月10日
Published Date 1986/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207349
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体外受精IVF-ETにおいて最も重要なことは成熟した"よい卵子"を数多く採取することである。このため採卵は通常,刺激排卵周期を用いて腹腔鏡下に行われる。しかし,卵管性不妊の中には骨盤内の癒着が高度で,腹腔鏡による直視下の卵胞穿刺が不可能なケースが少なくない。このような症例に対して我々は超音波ガイドによる経膀胱的卵胞穿刺を行っている1,2)。超音波ガイドによる採卵は局所麻酔でも十分行えるので,全身麻酔が不適当な症例に対しても有効である。またこの新しい採卵法はIVF-ETの簡素化の目的にも用いられている。IVF-ETで最も手間のかかるのが採卵である。入院を必要とするのもいわば全身麻酔下に採卵するためである。この点,超音波ガイドによる採卵は外来でも行えるので必ずしも入院を必要としない。ヨーロッパでは実際,IVF-ETを外来ベースで行っている施設が少なくない。
本稿では超音波ガイドによる経膀胱的卵胞穿刺の実際について述べる。
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