今月の臨床 経腟超音波を使いこなす
婦人科腫瘍の鑑別診断
2.子宮内膜症
本田 育子
1
,
小林 善宗
1
,
内海 靖子
1
,
井上 正人
1
1山王病院リプロダクションセンター
pp.548-554
発行日 1998年4月10日
Published Date 1998/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903248
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月経痛をはじめとする疼痛と不妊がこの疾患の大きな特徴である.またチョコレート嚢胞摘出手術後や薬物治療後の再発や,妊娠,分娩後の再発も多く,挙児希望の患者にとって,根治治療が困難であるといえる.しかしながら,疼痛など患者の訴える症状と子宮内膜症の臨床進行期分類との間に隔たりがあることはよく知られている.不妊については,内膜症が不妊の原因なのか結果であるのかは,いまだはっきりしないが,強い関係にあることは疑いようがない.当院における1996年4月〜1997年3月の間で176名の不妊患者に対する腹腔鏡検査では,126名(72%)に子宮内膜症を認め,そのうちの24%はIII,IV期(r-AFS分類)であった(表1).このことは,チョコレート嚢胞は上皮性卵巣癌との鑑別を要する卵巣腫瘤として捉えられてきたが,不妊症患者のチョコレート嚢胞診断にもより注意が払われるべきと考えられる.
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