原著
母体年齢と産科異常について
有澤 正義
1
,
末原 則幸
1
,
今井 史郎
1
,
木戸口 公一
1
,
林 昭
1
,
竹村 喬
1
Masayoshi Arizawa
1
1大阪府立母子保健総合医療センター
pp.291-296
発行日 1989年3月10日
Published Date 1989/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207971
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最近,妊娠や分娩の高齢化の問題が増加している。今回,われわれは分娩時の母体の年齢と産科的合併症の関係を検討した。対象を昭和56年10月から昭和63年3月までの当センターにおける24週以後の単胎の初産分娩3,794例とした。結果は20代の分娩が一番多く2,887例あり,19歳以下は75例,30〜34歳までは574例,35歳以上は258例あった。母体の体格は30歳を過ぎると低身長や肥満の傾向が強く,妊娠中の母体合併症は19歳以下や35歳を過ぎたものが高率であった。また,分娩合併症では帝切率や経腟分娩での頸管裂傷の割合は年齢とともに高くなった。新生児仮死率では19歳以下や35歳以上で合併が多く,新生児体重は30歳以上で有意にsmall for dates児の割合が多かった。以上の結果より,加齢による初産のリスクは30歳より35歳以上に高いのではないかということが示唆された。また,19歳以下の妊婦は母体の分娩時合併症は少ないが,妊娠合併症や新生児仮死が多いこともわかった。
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