原著
妊娠糖尿病診断基準と当センターでの管理について
有澤 正義
1
,
今井 史郎
1
,
末原 則幸
1
,
竹村 喬
1
,
藤田 富雄
2
,
和田 芳直
2
,
木戸口 公一
2
,
林 昭
2
Masayoshi Arizawa
1
,
Tomio Fujita
2
1大阪府立母子保健総合医療センター,産科
2大阪府立母子保健総合医療センター,母性内科
pp.579-582
発行日 1988年6月10日
Published Date 1988/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207814
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
日本産婦人科学会栄養代謝委員会より,妊娠糖尿病(以下GDMと略す)の診断基準の暫定案が報告されているが,日本糖尿病学会からは妊娠中の境界型は糖尿病として取り扱うと示されている。しかし,これらの2つの診断基準は異なり,特に60分値と120分値の間には差がある。この差の中には境界型であるがまったくGDMのどの点も満たさない一群(以下GDM−0と略す)と,境界型でGDMの1点のみを満たす一群(以下GDM−1と略す)がある。当センター開院以来6年間に妊娠16〜36週の間に75g OGTT施行例は371例あり,このうち正常型は167例,GDM−0は136例,GDM−1は36例,GDMは32例あった。GDMだけでなくGDM−0,GDM−1にも妊婦合併症や新生児のheavy for datesの合併も高率に認められた。これらについては通常の食事指導だけでは防ぎ得ないものもあり,今後これらのものについてはさらにきびしい食事療法の実施やインスリン療法の導入も必要であろうと考えられた。
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.