原著
無心体の病理学的検討
有澤 正義
1
,
金井 利仁
1
,
中山 雅弘
1
,
今井 史郎
1
,
末原 則幸
1
,
近藤 国男
2
,
北村 幸太郎
3
Masayoshi Arizawa
1
,
Kunio Kondo
2
,
Kotaro Kitamura
3
1大阪府立母子保健総合医療センター
2近藤産婦人科
3PL病院産婦人科
pp.611-618
発行日 1991年5月10日
Published Date 1991/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900433
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当センターでの無心体の頻度は約14,000分娩に3例(0.02%)であり,一卵性双胎230例に3例(1.3%)であった。当センター病理では,この他に2例の他院よりの剖検依頼もあった。5例の無心体はすべて双胎の1児で,Dasの分類にしたがうと,痕跡頭無心体1例,無頭無心体2例,無形無心体2例であった。無心体は奇形だけでなく臓器の未熟性も合併していた。双胎の無心体でない方の児にも臨床的な未熟が合併しており,この児にも十分な注意が必要であろうということが示唆された。胎盤は全例,一絨毛二羊膜であり2例の不明を除くと全例が動脈—動脈吻合および静脈—静脈吻合が認められた。胎盤の顕微鏡的観察では,未熟絨毛,異形絨毛,絨毛内出血が認められた。臍帯血管の異常としては高率の単一臍帯静脈の合併が報告されているが,今回も同様の結果であった。さらに,今回は無心体の臍帯静脈の筋層は未発達を所見としてとらえた。これが血流が他の児の循環に頼っているためなのか,低酸素のためなのか,奇形のためなのか,原因については今後の検討を要する。
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