特集 産婦人科と生物活性物質
腫瘍免疫におけるサイトカインの意義
斎藤 滋
1
,
野田 恒夫
1
,
丸山 雅代
1
,
一條 元彦
1
Shigeru Saito
1
1奈良県立医科大学産婦人科学教室
pp.253-257
発行日 1989年3月10日
Published Date 1989/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207964
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生体には自己変異細胞を認識し,かつ排除する免疫学的監視機構が存在し,いわゆる発癌を防いでいると考えられている。しかしながら一旦,本監視機構をくぐりぬけて発癌すると癌細胞は増殖し,やがては宿主を死に至らしめる。ただし,宿主はこれら癌細胞に対して決して無力なのではなく腫瘍細胞を攻撃する手段を有している。つまり,担癌宿主は免疫担当細胞を活性化させ,抗腫瘍活性を高める。この際,単球・マクロファージやT細胞より産生される多彩な作用を有するサイトカインと総称される液性因子が重要な役割を果たす。最近,遺伝子工学,免疫学の著しい進歩により,抗腫瘍活性を高めるサイトカインが続々と単離・精製されるに至った。表に現在までに,その全アミノ酸配列が決定したサイトカインを示すが,抗腫瘍活性を有するサイトカインを癌治療に応用する試みがなされており,一部は既に保険適用されている。本章では癌免疫療法に対するこれらサイトカインの関与について概説したい。
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