メタボリックシンドローム どう診断し、どう対処するか
アディポサイトカインと腫瘍
佐藤 哲子
1
,
小川 佳宏
1国立病院機構京都医療センター 臨床研究センター代謝研究部臨床代謝栄養研究室
キーワード:
胃腫瘍
,
結腸腫瘍
,
子宮内膜腫瘍
,
膵臓腫瘍
,
前立腺腫瘍
,
大腸腫瘍
,
糖尿病
,
乳房腫瘍
,
肥満
,
卵巣腫瘍
,
耐糖能障害
,
Adipokines
Keyword:
Breast Neoplasms
,
Diabetes Mellitus
,
Colonic Neoplasms
,
Obesity
,
Ovarian Neoplasms
,
Pancreatic Neoplasms
,
Prostatic Neoplasms
,
Stomach Neoplasms
,
Colorectal Neoplasms
,
Glucose Intolerance
,
Endometrial Neoplasms
,
Adipokines
pp.91-95
発行日 2007年1月1日
Published Date 2007/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2007160125
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肥満者では、脂肪細胞から分泌されるさまざまなアディポサイトカインが異常分泌しており、肥満に伴う多様な合併症とともに、腫瘍発症にも関与する可能性が考えられる。肥満者では、レプチン抵抗性が生じ高レプチン血症が持続するが、レプチンは摂食・エネルギー調節作用のみならず、神経内分泌調節、血球系・免疫系調節、炎症亢進作用や血管内皮細胞増殖の促進作用などがあり、発癌に関与する可能性が報告されている。反対にアディポネクチンは、インスリン感受性増強作用、抗動脈硬化作用、抗炎症作用を有し、乳癌や子宮内膜癌、さらには肝発癌を抑制する可能性が示されてきた。最近、肥満病態の脂肪組織中においてマクロファージの浸潤を伴う慢性炎症が高度に認められることが明らかになり、肥満-炎症-癌免疫系の関連が注目されている。
©Nankodo Co., Ltd., 2007